民意を踏みにじる最高裁判決に抗議する 2016年12月22日 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


民意を踏みにじる最高裁判決に抗議する

2016年12月22日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

最高裁は12月20日、翁長雄志沖縄県知事の上告を棄却する判決を下した。これによって最高裁は、普天間基地の無条件の閉鎖・返還を求め、これ以上基地はつくらないでほしいという県民の民意をふみにじり、「日米同盟」の名のもとに沖縄に新基地を押し付ける安倍政権の政策を追認する存在であることを明らかにした。私たちは、新基地建設をやめさせるために奮闘する翁長知事および県民とともに、今回の最高裁判決に怒りをこめて抗議する。そして、辺野古新基地建設反対、普天間基地とオスプレイの即時撤去、海兵隊の撤退、不平等な地位協定の抜本改定を求めて不屈のたたかいを進める沖縄県知事と県民に固く連帯したたたかいを全国に広げるために力を尽くす。

翁長知事が、仲井真前知事の辺野古埋立て承認は県民の民意に背き、沖縄の基地負担を増やし、住民の生活や貴重な自然環境を破壊するものとして、知事権限により埋立て承認を取消したのは、県知事選挙をはじめ繰り返し示された民意に沿うもので、まさに「地方自治」の精神の発露であった。ところが福岡高裁那覇支部は、普天間基地の被害をなくすには辺野古新基地建設以外にないという安倍政権の偽りの主張を全面的に認める判決を出した。この不当判決に知事が上告したのは当然であった。

しかし最高裁は、地方自治の本旨などの憲法判断を回避し、1999年の地方自治法改正による国と自治体の対等性をも無視し、「前知事の埋立て承認に違法性はなく、明らかに妥当性を欠くものでもない」との形式論で、翁長知事を選んだ県民の民意を無視し、取消し処分の是正を求めた国の命令に従わないことを違法と認定した。このような論理では、住民の要望に沿った政治を行うという地方自治の精神は踏みにじられ、政治の判断の誤りを正したいという民意はまったく無視され、民主主義の否定につながる。高裁判決では、「国防・外交で国の判断が不合理とまでは言えないなら、知事はこれを尊重すべきだ」とまで踏み込んだが、このような立場は、裁判所が行政機関にお墨付きを与える機関になり、憲法の番人としての役割を放棄したものと言わざるをえない。

最高裁判決を受けた翁長知事は、とりあえず埋立て承認取消しの決定を撤回するが、年内にも辺野古埋立て工事を再開する構えの政府に対し、岩礁破砕やサンゴの移植、工事の設計変更などに対する知事の許可権限を行使して「あらゆる手段で阻止する」との意思をくりかえし表明している。名護市もまた、さまざまな権限を行使して新基地建設に抵抗する構えである。これに対し安倍政権は、損害賠償請求や「知事権限の無力化」など姑息な対抗策の動きも見せている。それは、民意を権力で圧殺する強権政治にほかならない。

そのような強権政治に対抗するのは、なによりも住民・市民の広範で粘り強い抵抗と、幅広い連帯の取り組みである。私たちは、このことを確信し、「沖縄にもうこれ以上、基地を押し付けるな」という行動を広げ、強めていく。22日に行われた北部訓練場の一部返還式のあとも続くオスプレイ・パッド建設を阻止する行動、辺野古埋立てを許さない行動への参加・連帯を呼びかけるとともに、現在、展開中の全国統一署名運動をさらに発展させる。また、国政選挙は政治を変え、司法のあり方をただすうえで、きわめて重要である。私たちは全国のみなさんに、これらを通じて「基地建設反対、オスプレイはいらない」の声を全国的なうねりとしていくための奮闘を心から呼びかける。