コロナ禍をのりこえ、平和といのち、人権を大切にする社会に -あなたの命も自由も大切、だから私たちは声をあげつづける-


コロナ禍をのりこえ、平和といのち、人権を大切にする社会に
-あなたの命も自由も大切、だから私たちは声をあげつづける-

 新型コロナウィルス感染が世界中に広がり、格差と貧困を固定化、拡大してきた社会の矛盾が一気に表面化しています。と同時に、コロナ禍を機に自由と人権、民主主義を抑圧する権威主義、全体主義を強める動きも激しくなっています。
 私たちが毎年とり組む「5・3憲法集会」でも掲げ続ける「平和といのちと人権」をめぐるせめぎあいが、世界でも国内でもはげしさを増しています。
 コロナ禍をのりこえるためにも、「平和といのちと人権」を大切にする社会をめざすことが大切、私たちはその思いを強くしています。
 今だからこそ、世界各国の市民の運動との連携を強め、声をあげつづけましょう。

 昨年11月に中国で確認された新型コロナウィルスの人への感染は、7月12日時点で220の国・地域に広がり、1291万人の感染者、57万人の死者が確認されるまでに急拡大しました。
 コロナパンデミックは、世界の人々が同じ船に乗り、感染克服への支え合いと連帯が必要なことを多くの人々に気づかせました。また、経済利益の獲得競争を強めてきたグローバル化による経済的格差が、命の格差ともなっていることも明らかにしました。
 その状況のもと、2020年5月にアメリカ・ミネソタ州で発生した白人警察官による黒人男性殺害事件(ジョージ・フロイド殺害事件)は、コロナ禍での命の格差と根深い人種差別とが同じ根の問題と受けとめられ、「ブラック・ライヴズ・マター」の声と行動は瞬く間に世界に広がりました。そして、奴隷制や植民地主義の歴史的な誤りを正す運動に発展しています。
 「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等を譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎」(世界人権宣言・前文)、そのことがコロナ禍とジョージ・フロイド事件をきっかけに再確認され、共有され、差別の構造を改める運動に発展しているのです。

 その一方で、コロナ禍の混乱に乗じた権威主義的な政治の動きなどが、民主主義と平和の危機を深めていることも見逃せません。
 ハンガリーやフィリピンでは、感染対策を口実に指導者に権限を集中させる法案が成立し、ロシアでは現職大統領の任期を2036年までの延長を可能とする改憲が急遽おこなわれました。また、イスラエルによるパレスチナ領の一部(ヨルダン川西岸)併合の動きも急です。いずれも国際社会が強く反発する中での動きであり、コロナパンデミックに対する国際連帯に困難を持ち込みかねないものです。
 中国の「香港国家安全維持法」は、より深刻な問題をはらんでいます。7月1日に施行された「国家安全維持法」は、中国政府による香港の直轄統治を可能にしました。法は即時適用され、香港返還の日のデモに参加した市民の中から10人が同法違反で逮捕され、民主主義の基礎である集会や表現の自由を著しく侵害する悪法であることを示しました。
 この重大な人権侵害は、一国二制度の国際公約にも、国際人権規約にも反しています。市民社会の国際連帯として私たちが声をあげるのは当然の課題です。
 日本国内でも、人権制約をともなう逆流がおきています。
 PCR検査を拡充して医療崩壊を防ぎ、市民の経済的困窮を補償することなどの対策は不十分なまま、安倍首相が憲法への緊急事態条項の創設を含む改憲論議の加速をくり返し促し、コロナ感染対策の自粛要請に応じない場合の罰則新設に担当大臣や自治体首長が再三言及していることは、災害便乗主義の最たるもものです。
 また、マイナンバーと預貯金口座とをひも付けする「登録義務化」や、SNSプロバイダーからの発信者情報の取得の規制緩和の論議を政府が開始したことは、監視社会に進む危険性をもっています。見過ごせないのは、「自粛警察」と称されるような権力に忖度し、同調圧力を高める行動が市民の中からおきていることです。
 憲法第12条(「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」)を改めて確認しあいたい今の状況です。

 一般官僚機構に続き、検察官までも時の権力が私物化しようとした検察庁法改定法案に対し、「#抗議します」のツイッターなどによるネットデモが短時間で広がり、大きな世論となり、法案を廃案に追い込みました。
 コロナ禍で強まった権力強化の動きに、市民が機敏に反撃する民主主義をまもり、取り戻す動きの強まりは、未来への大きな希望です。

 私たちはよびかけます。わたしもあなたの命も自由も大切、と声をあげつづけましょう。行動をつづけましょう。平和といのち、人権を大切にする社会に、と立ちあがっている世界の市民運動との連帯を強めましょう。

2020年7月17日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会