政府・防衛省は沖縄県への「設計概要変更申請」を撤回し、辺野古新基地建設を断念せよ!


内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
防衛大臣   河野 太郎 殿

政府・防衛省は沖縄県への「設計概要変更申請」を
撤回し、辺野古新基地建設を断念せよ!

4月21日、政府・防衛省は沖縄県に対し、軟弱地盤改良工事にともなう「設計概要変更申請」(以下「変更申請」と略)を行った。コロナ感染症対策を最優先とする「緊急事態宣言」のもとでも、人命より米軍への基地提供はさらに優先するというのか。

大浦湾側に広がる軟弱地盤の存在は、2016年までのボーリング調査ですでに判明していた。その事実をひた隠しにし、土砂投入を強行してきた政府・防衛省に、「変更申請」を行う資格などない。

2019年1月末になって、政府は初めて軟弱地盤の存在を認め、新たに地盤改良工事を行うことを明らかにしたが、工期も総工費も示せなかった。今回の「変更申請」では、工期は完成までに今後12年、総工費は当初の2.7倍の9,300億円(沖縄県は2兆5,500億円と試算)に膨らんだ。工法も全面的といえる見直しがなされ、「変更申請」の実態は限りなく新規工事に近い。環境影響評価のやり直しは、必須のことだ。そもそも、水深90㍍に及ぶ軟弱地盤改良については、世界のどこにも可能とする技術や設備・経験がなく工事は困難であると、多くの専門家や技術者が指摘している。

軟弱地盤改良には、新たに大量の海砂が必要になる。埋立土砂はこれまで西日本各地から搬入する計画だったが、海砂・土砂の双方を沖縄県内中心に調達するとされている。沖縄の海と山の自然破壊は想像を絶するものとなるだろう。工期短縮のために、外周護岸を締め切る前から、海面下7㍍までの先行埋立実施も計画されている。汚濁は大浦湾全体に拡散することが想定される。また、活断層の存在が指摘され、大量の危険物質を扱う軍事施設にもかかわらず、中小規模地震への耐震設計基準である「レベル1」を採用していることや、設計供用期間について「一般的構造物」が対象の50年を想定していることも大きな問題だ。2月には、B27地点の地質データ隠蔽も発覚した。ケーソン護岸基部にあたる重要地点であり、護岸崩壊の可能性まで指摘されているにもかかわらず、再調査は拒否したままだ。警備費が総工費の約2割を占めるという事実も、民意に反して強行される辺野古新基地建設の異常さを象徴している。

普天間基地の「5年から7年以内の返還」合意からは、すでに24年が経過した。仲井眞元知事と政府の「5年で機能停止」との約束期限も過ぎた。さらに供用までには、最短で今後12年を要する。「辺野古は唯一の解決策」の破綻は誰の目にも明らかだ。いま、政府・防衛省がなすべきことは「変更申請」などではない。辺野古関連工事を即時中止し、沖縄県と国会に対し現状を隠さず報告し、辺野古新基地建設を断念することである。

「辺野古に新しい基地は造らせない」という沖縄の民意は、沖縄県による「埋立承認撤回」以降も、県知事選・県民投票・衆院補選・参院選と揺るぎなく示され続けている。地方自治と民主主義を無視し法治国家を破壊しているのは、安倍政権そのものだ。

昨年10月、米国の環境プロジェクト「ミッションブルー」は、辺野古・大浦湾一帯を日本で初の「ホープスポット」(希望の海)に認定した。今年10月に予定される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)にむけては、「2030年までに世界の陸域と海域の少なくとも30%を保護区として保全する」新目標の採択をめざして取り組みが始まっている。軍事基地のために、万年を単位とする歳月で形成された、やんばるの山を削り辺野古・大浦湾の埋立を強行することの誤りはすでに明らかだ。

政府・防衛省は「設計概要変更申請」を撤回せよ! 辺野古新基地建設を断念し、普天間基地を即時撤去せよ! 辺野古新基地建設予算はコロナ対策と生活支援に回せ! 私たちは怒りを込めて要求する。

2020年5月12日

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会