基本的人権と憲法、刑法原則も無視した『共謀罪法案の強行採決に怒りを込めて抗議する』


安倍内閣と自民党、公明党、維新の会は6月15日早朝、共謀罪法案を審議打ち切りと強行採決の連発で参議院を通過させ、成立させるという暴挙に打って出た。277もの「犯罪」に共謀罪を拡大するこの法律は、市民の言動に治安対策の網をかけ、監視社会化、密告社会化を一挙に拡大しようとする企てであり、基本的人権と憲法、刑法の原則も無視した共謀罪法案の強行採決に、私たちは満身の怒りをこめて抗議する。

安倍内閣は、国際組織犯罪防止条約の批准の機会を利用して、条約には関係ない「テロ対策」を口実にし、さらに東京オリンピック・パラリンピックまで引き合いに出して、この現代版の治安維持法を正当化しようとした。しかし、それらの口実が根拠のないウソであることが明らかになり、また、法案の根幹である「組織的犯罪集団」、「計画」、「合意」、「準備行為」、そして「一般人」などの概念と範囲などすべてがあいまいで、答弁が二転三転し、国内の各界からだけでなく国際的な批判も浴び、法案の危険性が広く理解されるようになったため、政府・与党は追い詰められていた。加えて、安倍首相自身がからむ森友疑惑、加計疑惑の真相が明らかになり、政権危機の様相を示す事態になった。参議院での審議打ち切りと強行採決の暴挙は、こうした事態に焦った安倍内閣と与党が「数の力」で突破し終止符を打とうとした、もう一層の暴走である。

このように重大・深刻な内容を持つ法案は、廃案にするしかなかったが、少なくとも十分に審議し、あいまいな点や矛盾を解明し、誰もが理解することが不可欠である。しかし政府・与党は、審議が進めば進むほど法案の問題点が明らかになるため、国会での審議そのものを打ち切り、とくに参議院では、法務委員会での審議や裁決を封印する本会議での「中間報告」という異常な手法を行使した。議会制民主主義の精髄は「多数決」ではなく、「熟議・互譲」にあるはずだが、安倍内閣と与党らは、なりふり構わず「多数の力」で熟議と理解を圧殺した。このような民主主義破壊の強権政治は、一日も早く終わらせなければなない。

この法律が適用されることになれば、あらゆる分野での市民運動や市民活動、労働運動などは警察の監視、盗聴、密告奨励・強要などの対象になり、あいまいな要件は取り締まり当局の恣意的な解釈にゆだねられ、冤罪を多発させ、市民の言論や行動を大きく萎縮させ、自由な社会を窒息させることになろう。共謀罪法案の廃案を求める署名が短期間に153万人を超えたのも、その危険性の理解が急速に広がったためである。私たちは、あくまで共謀罪法の廃止をめざすとともに、その適用による言論、表現、市民活動、労働運動などの自由と権利の侵害を許さない取り組みを進める。

2017年6月15日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会