安倍晋三首相の「2020年9条改憲施行」発言に抗議し、憲法の平和主義と立憲主義を守りぬくために全力で闘います


2017年5月10日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

 安倍晋三首相は5月3日、日本会議などが主導する改憲派の集会にメッセージを送り、「2020年に、自衛隊の存在を憲法第9条に書き込んだ改憲を施行する」と表明しました。憲法施行70年の記念日であるこの日に、首相が国会の憲法審査会での議論の経過すら無視して、期限を区切って改憲を施行する決意を表明したことは、第99条の憲法尊重擁護義務に違反し、立憲主義に反する極めて異常なものです。

 この間、安倍首相は憲法施行70周年を前にして「憲法施行70年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示する」として改憲を主張してきましたが、世論の批判を恐れて、改憲の内容を具体的に明示するのは避けてきました。ところが今回は、「憲法9条(3項)に自衛隊を書き込む」ことを明言しました。9条の1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持)をそのままにするとはいっても、この新3項が1、2項と根本的に矛盾することはあきらかです。

 もともと、安倍首相らの主張は9条2項の改憲と、国防軍保持であったはずです。
にもかかわらず、こうして自らの主張を変え、ムリヤリ「自衛隊の存在」を書き込もうとする狙いは、これまで第9条が果たしてきた海外での戦争の歯止めの役割を外し、2015年の戦争法によってさえ限定的容認であった集団的自衛権の行使を無制限に容認し、文字通り日本を「戦争する国」にすることにあります。これによって海外で戦争することのなかったこの国の70年の歴史は転換させられ、自衛隊の性格は海外で戦争ができる軍事力として根本的に変化させられることになります。

 ときあたかも国会では「戦争法と一体の共謀罪法案」が審議され、森友学園に関わる権力の私物化が問題とされているときです。そしてさまざまなメディアの調査によっても、9条改憲は必要ない、あるいは安倍政権の下での改憲には反対だという世論が多数を占めているときです。今回の首相の改憲発言は自らの政治的危機を回避し、政府に対抗する野党を分断し、世論を分断しようとする政治的な意図と一体のものではないでしょうか。オリンピック開催の時期や自らの任期などと合わせて語られる改憲計画は、安倍首相の個人的な野心にもとづくものに他ならず、断じて許されません。

 おりしも、このメッセージが発表された5月3日は、5万5千人の市民が集った東京・臨海防災公園での集会をはじめ、全国各地で憲法70周年を祝し、憲法の理念をいっそう生かしていく決意を固めた日でした。安倍発言はこの広範な市民の声に敵対するものです。

 戦争法に反対し、共謀罪の策定に反対して闘ってきたわたしたちは、国会内の立憲野党のみなさんと連携し、全国各地の市民のみなさんとともに、今後いっそうの決意を固めて、安倍首相の改憲暴走に反対してたたかうことを表明するものです。